絶対年代

絶対年代

考古学や古生物学分野での発掘調査における年代測定に、研究者は絶対年代を用います。絶対年代を決める方法はいくつかあり、このプロジェクトでは2種類の年代測定法:放射性炭素年代測定(C14)と考古地磁気法を使用しています。

それぞれの方法に対して、発掘区域から、年代を測定可能な特定のサンプルを採取する必要があります。C14法では、木、炭化物、骨、貝といった有機物、考古地磁気法では、建材、しっくい、焼土といった全く異なるサンプルが必要です。これらのサンプルは、それぞれの方法に対応した研究室で、必要な設備と施設を使用する専門家の元に送られます。


放射性炭素年代測定

放射性炭素年代測定は、炭素14(14C)の不安定な放射性同位体を調べます。この測定法は、20世紀半ばから基本的な測定法で、世界中の考古学や古生物学分野での発掘調査において、年代測定法として使用されました。

すべての生物は炭素14を吸収しています。生物が死ぬと、14Cは一定の割合で崩壊し始めます。つまり、木材、石炭、骨、貝、コラーゲンなど、考古遺物や化石に残存する14Cの濃度を測定することで、生物が死んでからどれくらいの時間が経過したのかを計算することができます。考古学や古生物学分野での発掘調査において年代測定法として使用されます。

このプロジェクトでは、炭化物と骨のサンプルを以下のラボに委託しました。: Accelerator Mass Spectrometry Laboratory (AMS) of the University of Arizona and to Beta Analytic.


考古地磁磁気法

考古地磁磁気法は、考古学者が遺跡の絶対年代を算出するために使用する別の特殊な方法です。この方法では、地球磁場のわずかな変動を調べます。磁北の方向の変化や、時間経過に伴う強度の変化も含めて、考古遺物の残留磁化の方向と比較します。

プロジェクト第1期のサンプルは、考古地磁磁気法を扱うメキシコ国立自治大学(UNAM)地球物理学研究所内、 Laboratory of Paleomagnetism (Division of Archaeomagnetic Studies)に所属する Dr. Soler が分析済みです。


とはいえ、何なのでしょうか?

70_CampoMag_Eng.pngこの測定法を理解するには、最初に私たちの惑星と磁気特性について話す必要があります。地球は巨大な磁石のようであり、磁力を放射しています。地磁気のS極は地理上のN極に対応しています。N極は地理上のS極に対応しています。磁極は安定しておらず、時間経過を経ると徐々に動きます。このような磁場の方向と強度の変化は、17世紀中葉以降研究されてきました。今日このような観察は、時間経過に伴う磁北の位置を記録する経年変化曲線の作成に用いられています。

さらに、酸化鉄鉱物(ヘマタイト、マグネタイトなど)は磁気をもち、高温(500~700℃)に達すると磁性を失います。鉱物が冷却したときに、地球の磁場方向が再反映されます。このような鉱物が得た磁性は熱残留磁化といい、鉱物には時間経過に伴う変化が残ります。

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高温に曝されたしっくい壁と床における熱残留:a) しっくいを塗った際、含まれる磁性鉱物は初期磁化(Mi)の状態で、形状及び粒子に依る; b) 火に曝された際、特に磁性鉱物のキュリー点(Tc)では、初期磁化を失う; c) 鉱物が冷却すると、冷却時の地球磁場を記録する(Mf)。(出典) Diagram and text modified from Soler Arechalde (2014); stucco wall image from Séjourné (1969)

古代から、磁性鉱物は床、壁、壁画や土器に顔料として用いられました。このため、高温に曝されることとなり、測定に役立てられるようになりました。これらの鉱物は、磁化曲線と比較することで、考古遺跡の年代測定に使用されます。


考古地磁気法の分析で使用される鉱物の種類とは?

地球磁場の方向が残存する考古学的特徴は、炉、燃やされた床や壁、コマル(調理器具)、窯跡などです。研究者たちは最近、特定の鉱物を含む塗料を含む壁やしっくいを発見しました(例えばヘマタイト)。製作時の磁場の方向を記録することができます(Ana Ma. Soler Arechalde博士とのパーソナル・コミュニケーションによる)。

考古地磁気法での試料は、厳密に管理された層序から採取する必要があります。コンテクスト情報が、基準となる年代測定の算出に不可欠なためです。さらに、考古地磁気法のクロスチェック用に、放射性炭素法、熱ルミネッセンス年代測定法、黒曜石水和層法といった他の年代測定法を使用することをお勧めします。


考古地磁気法での試料採取

プロジェクト第1期発掘期間中、Ana Soler 博士は遺跡の絶対年代測定用に複数の試料を採取しました。

考古地磁気法での試料採取の一般的な手順は次のとおりです。床面での試料採取向けであり、コンテクストに応じて手順は多少異なります。

  1. 直径2.54cmの木製シリンダーを使用し試料採取します。2.1cmのシリンダー10本は非磁性エポキシ接着剤で表面に接着します。文字で印をつけ、磁気を方向付ける準備をします。
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サンプル採取
  1. 試料を方向付けるにはブラントン社製コンパスを使い、地理上の北を示す位置にマーカーペンで矢印を付けます。水平面に対する角度は、コンパスクリノメーターを使用し測定します。地理座標上に各サンプルの磁場方向を決める際に使います。
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    サンプルの磁場方向の記録, 2015
  1. のみを使い木製シリンダーを注意深く除去します。
  2. しっくい付木製チップを綿で包み、試料番号を注記します。
  3. 各試料から採取した木製チップ数は採取個所の条件によって異なりますが、通常、各サンプルから10~12個採取します。
  4. マグネトメータでの分析に適した寸法に研究室で加工します。
  5. この機器は、各試料の磁場方向を決めるために交流磁界の精密測定ができます。
  6. Fisherの正確検定は、試料の平均的な方位を算出するために、全試料の結果に使用します。ベイズ統計学を使用し、変化曲線を比較します。:偏角(磁北に対する角度)、傾斜(水平面に対する角度)から統計的に考えられる年代を決定します。この計算は統計に基づくため、試料が大きいほど、信頼性が高くなります。

試料採取にはブロック試料という方法もあります。手順は上記と同じですが、ブロック試料は1回だけ方向付けることができます。この場合には、より大型の試料を採取し、より管理された状況で扱います。

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発掘により発見された床に偏角と傾斜を記録し、Dr. Solerがサンプル採取を行う様子

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参考文献

Séjourné, L. 1969. Teotihuacan Métropole de l'Amérique. François Maspero, Paris, pp. 318.

Soler Arechalde, A. M. 2014. Arqueomagnetismo en Mexico 1965-2013. Latinmag Letter 4(4): 1-14.

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