物理探査

物理探査

地中にあるものとは?

ここで重要なのは、考古学とは壊す科学であり、最も侵入的でない方法を用いて最大限の情報を得るということに、常に気を遣う必要があります。

したがって、区域内の目に見える遺構全てを測量図に反映させたのち、発掘を始める前に、探査を実施することが望まれます。地中にあるものや、肉眼では検出が困難な特徴を捉えるヒントを与えてくれます。そのために物理探査は行われます。何らダメージを与えず発掘に最適な場所を特定するために、よりよい精度の手法が用いられます。メキシコ国立自治大学人類学研究所考古学研究調査室(Laboratory of Archaeological Survey (IIA) of the Institute of Anthropological Research at the National Autonomous University of Mexico (UNAM))が、プロジェクト全体の物理探査を担当しています。詳細を知りたい場合は、こちらをご覧ください。

物理探査とは?何に役立つのか?

物理探査(geophysical survey、または、geophysical prospection)とは、地形の探査を指し、地下の特徴から考古遺物の位置を決定します。この場合、将来的な発掘の方向性を導くために用いられます。発掘前に容易に識別できない土壌構造や建築物を特定できるためです。例えば、この技術は、異なる建造物や、大きな空洞、基岩の深さを仮定することで、活動領域を識別することができます。

「石柱の広場コンプレックス」では、3つの方法、(a) 磁気探査, (b) 電気探査(比抵抗法), そして (c) 地中レーダ探査 での、対象区域における物理探査の実施が必要でした。情報を検証し、より正確な調査結果を得るためには、少なくとも2つの探査法を組み合わせることが求められます。

どのように地中を見ることができるのか?

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私たちは地下を透視する力を持っていませんが、リモートセンシング技術は、発掘前に埋蔵物の存在を示すことができます。これらの調査技術は、建築材料の組成の違いを検出します。埋蔵物間で、埋め戻した土や、他の地質学的特性が異なることから、潜在的な考古学遺物の分布を示します。


(a) 磁気探査:材料の磁気特性を理解する

ある種の物質は微量の磁性鉱物を含み、検出可能な磁場が作られます。磁気探査は地面から放射される磁場の強さを記録し、炉や窒跡のような燃えた部分を検出するのに特に役立ちます。なぜなら、メキシコ中央部の建造物は地元で利用可能な、微量な金属を含む火山岩をしばしば利用していたためで、リモートセンシング技術が有用なのです。このように、壁の向き、溝やトレンチ(試掘坑)が、発掘開始前に認識されることもあります。

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物理探査: 磁気探査

グラジオメーター(磁力計の一種)は、地球の磁場の小さな変化を捕らえる装置で、埋められた考古建造物を検出するために用いられます。磁力計は少量の磁性鉱物を検出することができます。いくつかの建築資材に含まれる磁鉄鉱やイルメナイトなどです。原料の鉱物組成に応じて、遺物は強弱の磁気を帯びます。異なる材料の磁場強度の変化は、地球の磁場の誘導や、キュリー温度(強磁性鉱物が磁性を失う温度)を超えて加熱された後に生成される残留物や、温度低下により生じます。キュリー温度は成分によって異なります。

この探査法は、炉や窯跡などの燃焼範囲を検出するのに特に有効です。壁や溝、トレンチの識別にも使用できます。

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Tテオティワカンの区画にあわせて磁気探査の準備をする測量士。2015年の物理探査チーム(by Dr. Luis Barba et al.)

磁気探査の主な利点のひとつに、短時間で広い面積を探査可能な点があげられます。データ取得後、基本的なデータ処理が迅速で、すぐに結果を得ることができ、次の探査と発掘を見立てることができます。


(b) 電気探査(比抵抗法):地下に電流を流す

この技術は、地下に電流を流すことで電気抵抗のレベルを検出します。この技術を用いることで、地下に何があるかについての手がかりを得ることができます。石壁のようなものは電流を通しづらく、一方、緩い土壌、水路などは電流を通しやすいです。

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物理探査: 電気探査

この探査法は磁気勾配の結果を確認するのに非常に役立ちます。名前が示すとおり、地面に放出された電流とこれらの電流の抵抗率が測定されます。通常、建物の基壇や石壁では高い抵抗率を示し、トレンチ内に水を含む堆積物があるエリアでは弱い抵抗率を示します。

調査区域での抵抗率の高低を記録することで、堆積物のある溝、壁、他の建造物の配置とサイズを特定できます。

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電気抵抗を記録している様子。2015年の物理探査チーム(by Dr. Luis Barba et al.)

このプロジェクトでは2極法(ポール・ポール法)を使用します。携帯性と、解像度の高さから、他の方法よりも解析しやすい正確な答えを与えてくれます。地表近くに埋められた4つの電極で構成され、2つを可動電極、2つを固定電極とします。


(c) 地中レーダ探査:高周波電磁波

GPR探査は、アンテナから電磁波を地中に放射します。電磁波は、エコーのように反射し、地中の2次元・3次元での異常個所の画像を作成し、構造物の形状と深さ、空洞、基岩の深さを認識するのに役立ちます。

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物理探査: 地中レーダ探査

GPR探査は、アンテナから電磁波を地中に放射します。電磁波は、エコーのように反射し、地中の2次元・3次元での異常個所の画像を作成し、構造物の形状と深さ、空洞、基岩の深さを認識するのに役立ちます。

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地中レーダー探査を行っている様子

GPRはより新しい高性能な技術の一つです。迅速かつ非破壊的な方法で地中にあるものを記録します。より戦略的な発掘を可能とし、考古調査にとって貴重なツールとなっています。

GPRは電磁波を地面に送り、反射波を記録して、地下の2次元・3次元画像を作成します。地中物質の電磁気特性の違いが反射波の差となり、レーダグラムと呼ばれる地中の断面図を作成することができます。

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G中レーダー探査とレーダーグラム: 2015年(
by Dr. Luis Barba et al.)
Image courtesy of the 2015 geophysical survey team, by Dr. Luis Barba et al.

GPR探査を用いる際に考慮すべき多くの要素があります。例えば地中の遺物の深さと組成です。通常、GPRは構造物と周囲の間に良好な誘電率の差がある場合により効果的です。したがって、GPRは岩石で作られた建造物を検出する場合にはより有効ですが、土製のものには不向きです。

この技術の利点の一つは、異常個所を調べるだけでなく、そのような特徴がみられる深度のプロキシを得られることです。


各リモートセンシング技術の概要からわかるように、それぞれの方法には長所と短所があります。全ての異なるリモートセンシング技術を組み合わせ得るときのみ、十分な情報に基づく発掘計画を作り上げることができるのです。

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