相対年代

相対年代

遺跡の層序と順序を観察することで、最初に何が起こったのか、そして次に何が起こったのかを確認することができます。前提として―(a)最下層は一番古く、(b)各層は順次堆積し、(c)遺跡が破壊されていない―、これは相対年代と呼ばれます。

相対年代を決めるには、考古学者は、ある場所や地理的領域で起こった他の事象に関係づける方法をとります。どのような事象が以前や以後、それとも同時に起こったのかを知ることはできますが、正確な年代はわかりません。

考古学では、土器が遺跡の相対年代を決めるために広く用いられ、土器編年と呼ばれています。テオティワカンでは、大量の土器片が残存し、時間経過に伴って徐々に、一定の変化がみられるため可能でした。変化には、形、素材、製作技術が含まれ、考古学者が考古学的な記録から時間的傾向を区別することを可能にしました。


テオティワカンの土器編年

古代テオティワカン人は、とても多様で広範な土器の伝統をもっていました。19世紀中葉にテオティワカン地域で初めて行われた発掘では、数百の土器片が地表に見える状態でした。今日でも、訓練された目で見れば、地表に土器片が散乱しているのが容易にわかります。100年以上の調査を経て、先駆的な研究者たち-名前を挙げれば、Manuel Gamio, Eduardo Noguera, Pedro Armillas, Sigvald Linné, Alfred L. Kroeber, René Millon, George Cowgill, Evelyn Rattray- の尽力と研究のおかげで、私たちはテオティワカンの土器に関する幅広い知識を得ています。

土器分析の研究法はRattray's (2001)に準拠します。著書で、テオティワカン地域における土器分析の先行研究を要約し、試掘調査から得られた自らの調査結果を示しました。加えて、George Cowgill博士の土器のタイポロジー(パーソナル・コミュニケーションによる)も参考にしています。

Rattrayは、テオティワカンの土器に関する出版物と、絶対年代を用いた新たな土器分析を基に土器編年を決定しました。彼女の研究では、考古学的なコンテクストを考慮した、テオティワカンにおける土器のタイポロジーについても詳細に定義しています。Rattrayの編年表は、1966年~1969年のテオティワカン・マッピング・プロジェクト (Millon, 1973)での試掘調査による数千点の土器片の分析に基づいています。また、1972年のシウダデーラ(城塞)での自らの発掘、1973年のStarbackによるヤヤウアラ地区での発掘、他の記録されたコンテクストでの土器片も調査しました(Rattray, 2001)。

どのように土器編年を決めるのか?

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第一期発掘より出土の土器片

ピットから出土する土器遺物は、元々はolla(大型壺)、vaso(鉢)、figurilla(土偶)、他の土器であったものが破片となった状態であることが多く、それらを土器片と呼びます。次の図で、土器片が洗浄された状態をご覧ください。

その形状とサイズによって、土器は分類されます。次の図で、テオティワカンの一般的な器種についてご覧ください。

形状やサイズ、様式、表面調整、胎土の属性、色といった土器の様々な特徴の研究と比較から、多くの研究者が土器を分類し、テオティワカンの土器編年を確立しました。以下は、現在土器の堆積物を分類するために用いられるRattrayのテオティワカン土器編年を図解したものです。この土器編年表は、時間経過に伴う土器のさまざまなバリアントの例を示しています。

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テオティワカンの土器型式分類: Rattray(2001)を基に作成

土器の類型学に加えて、土器グループ(ceramic wares)に分類することもできます。土器グループではタイポロジーと、土器の表面調整や胎土の属性を参考にします。これまでに、テオティワカン(地域)で次の土器グループが確認されています:

  • Mateグループ: Mate Burdo, Mate Fino: tapas(蓋), tapaplatos(カバープレート), adornos(香炉の装飾品), miniaturas(ミニチュア土器)
  • Bruñidoグループ: ollas(大型鍋), comales(大型皿)
  • Pulidoグループ: cajetes(碗), platos(皿), vasos(円筒形鉢), floreros Tláloc(トラロック壺)
  • Pintadoグループ: Monocromo y Bicolor(単色、多彩色): cajetes(碗), vasos(円筒形鉢), jarras(壺)
  • Estucado y Pintadoグループ: 各種
  • Copaグループ: vasos(円筒形鉢), copas
  • Cerámica Anaranjado San Martin: vasijas(調理貯蔵用大型鉢), ánforas(大型壺)

また、Cerámico Anaranjado Delgadoグループ、Cerámico Granulaグループといった他地域の土器グループもあります。詳しくは、「土器分析」コーナーを忘れずにご覧ください。

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Rattray(2000a, b)を基に作成

さまざまなタイプの土器の継時的変化を記録したものが、土器編年の基礎となっています。さまざまな土器のタイプやグループの層序での分布と頻度を記録することで、テオティワカンの特定の時期区分に土器編年を関連づけることができます。現在、土器編年は、相対年代を決める上で最も広く用いられ、信頼性の高い方法です。

土器編年に関する多くの研究があり、Rattray (2001)でテオティワカン用に確立されたタイポロジーと土器編年を調べることができます。Rattrayは先行研究を基に、新たなカテゴリーを多く作ることなく、対象を広げよりよい研究としました。このようにして、古代テオティワカン人が多様な用途に応じたさまざまな土器のタイプを製作していたことを知ることができます。

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テオティワカンの土器編年。Rattray(2001)を基に作成

参考文献

Millón, R. 1973. Urbanization at Teotihuacan, Mexico, Vol. 1, Part I: Text. Austin: University of Texas Press, pp. 154.

Millón, R., Drewitt, R., and Cowgill, G. 1973. Urbanization at Teotihuacan, México. Vol. 1, Part II: Maps. The Teotihuacán Maps. Austin: University of Texas Press, 147 map sheets + 3 folding maps.

Rattray, Evelyn Childs. 2000a. Teotihuacan: Ceramics, Chronology, and Cultural Trends. University of Pittsburgh Memoirs in Latin American Archaeology, No. 13.

Rattray, Evelyn Childs. 2000b. Teotihuacan: Ceramics, Chronology, and Cultural Trends -- Color Illustrations. Latin American Archaeology Database, University of Pittsburgh. <URL: http://www.pitt.edu/~laad/rattray/>

Rattray, Evelyn Childs. 2001. Teotihuacan: Cerámica, Cronología, y Tendencias Culturales. Serie Arqueología de Mexico, Instituto Nacional de Antropología e Historia. Mexico, D. F., pp. 617 pp. + tablas de frecuencias de los grupos cerámicos.

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